当院では正確な知識と技術に裏付けられた精度の高い分娩管理と、妊婦様と赤ちゃんにとって安心・安全で満足感の高い分娩を提供する事を心掛けています。
そのための選択肢の一つとして無痛分娩をお選び頂く事ができます。
無痛分娩とは、麻酔薬を用いて出産時の痛みを和らげる方法で、欧米諸国では広く普及し、日本でも無痛分娩の割合は増加傾向です。無痛分娩のメリットとデメリットを十分ご理解頂いた上で、御自身にとってより満足感の高いバースプランが「痛みのないお産」であれば無痛分娩を選択なさって下さい。最大限バースプラン達成のお手伝いをさせて頂きます。
●メリット
- ・陣痛の強い痛みを和らげる事ができます。
- ・「辛く逃げ出したい痛み」ではなく「もうすぐ会える赤ちゃん」に気持ちを向けることができます。
- ・体力の温存ができるため、分娩後の回復が早い傾向にあります。
- ・外陰部や腟に裂傷が出来た場合でも痛みなく縫合ができます。
- ・痛みに対する不安が解消され、心穏やかにリラックスできます。
- ・緊急帝王切開になった場合、速やかに手術ができます。
●デメリット
- ・麻酔薬の影響で陣痛が弱くなり分娩の進行が遅れる事があります。その場合は陣痛促進剤を使用したり、吸引・鉗子分娩になる率が増加します。
- ・片側効き、まだら効き、効果不十分で麻酔チューブの入れ直しが必要となる場合があります。
- ・血圧低下、発熱、かゆみ、頭痛が生じる可能性があります。
- ・費用が高額になります。
- ・硬膜外カテーテルが迷入する事(硬膜外腔以外の場所に誤って挿入する事)があります。血管内に入ると局所麻酔中毒(耳鳴り、味覚異常、痙攣、意識消失、呼吸抑制)が起こり、くも膜下腔に入ると全脊麻(下肢の運動麻痺・徐脈・血圧低下・呼吸停止・意識消失)が起こるリスクがあります。
- ★毎回の投薬をテストドーズだと考え、異常の早期発見をする事に心がけているため、開院以来当院では局所麻酔中毒や全脊麻を起こした事例はありません。
●無痛分娩の方法
硬膜外麻酔(こうまくがいますい)による無痛分娩を行っています。
硬膜外麻酔は、背中の中にある硬膜外腔という部分に細いカテーテルチューブを入れ留置し、そこから麻酔薬を定期的に入れる事で長時間の陣痛の痛みを感じないようにコントロールする方法です。
CADD+PCAポンプという機械を使って正確な薬液量を投与し、万が一痛みを感じた時に自分で薬液を追加できるシステムを導入していますのでより安心です。痛みは感じないのですが、子宮収縮や赤ちゃんの降下感は感じる事が出来るので、ゆっくり「いきみ」のタイミングを合わせ、「自分で産んだ」という満足感を得る事もできます。
●24時間365日無痛分娩に対応
- ① 妊婦様の御希望に応じて出産日を決め、分娩誘発しながら硬膜外麻酔を行う計画無痛分娩
- ② 陣痛が始まるのを自然に待って、分娩がアクティブに進行し始めたら硬膜外麻酔を行う自然無痛分娩
どちらも対応可能です。
但し、子宮口の状態や母体の健康状態、赤ちゃんの成長発育状況など、医学的に無痛分娩に適した時期を判断してアドバイスさせて頂きます。
●普通分娩から無痛分娩への切り替えも可能
普通分娩進行中に痛みに耐えられず無痛分娩に切り替えたいという御希望にも対応可能です。
●無痛分娩担当者と分娩管理
麻酔のエキスパート、麻酔科標榜医である理事長・小竹譲が硬膜外カテーテル挿入留置を行います。
その後の分娩管理は理事長の監督指示のもと助産師が担当します。
担当助産師がベットサイドでしっかり観察を行います。カテーテルが正しい位置に挿入されているか、無痛の効果があるか、母児共に循環動態に異常がないか、分娩進行は順調か等、観察させて頂きます。
安全な無痛分娩を提供するため様々な研修を終了し、助産に習熟した助産師長が後輩助産師を指導致します。
硬膜外分娩中は、基本的には分娩が終了するまでベッド上での安静になります。
体位の変換は自由で横向き、座位、会話も睡眠も可能です。
お食事はお控え頂きますが水分、ゼリー飲料等の摂取はできます。
以下の無痛分娩の安全性向上のための研修を終了しています
- ・BLS(一次救命処置)プロバイダーコース
- ・J-CIMELS(母体救命システム)ベーシックコース
- ・NCPR(新生児蘇生法)専門コース
- ・アドバンス助産師
●緊急帝王切開も速やかに対応し母児の安全をお守り致します
無痛分娩をすると、お産の進行が止まって帝王切開になってしまうのでは?赤ちゃんに危険が迫って仮死状態になる頻度が増えるのでは?と考えられる方がいらっしゃるかと思いますが、「麻酔なしの自然分娩」と「無痛分娩」で有意差はないというデータが出ています。 どのような分娩方式でも分娩経過中で、緊急帝王切開が必要となった場合、速やかに対応し、母児の安全をお守り致しますので御安心下さい。
●無痛分娩に関する情報公開について
当院では、無痛分娩関係学会・団体連絡協議(JALA)の提言に基づき、無痛分娩に関する情報を公開しています。